ミニマル・ミュージックの先駆者、齢78にしてロックに目覚めたか!? と、話題となっていたレディオヘッドとのコラボ作の日本盤がようやく登場。スティーヴ・ライヒ「レディオ・リライト」を聴く。
- Artist: Steve Reich
- Title: radio rewrite
- Label: Warner Music Japan
- Catalog#: WPCS-12932
- Released: January 28th, 2015.
- Price: ¥1,600 (iTS)/ ¥2,808 (amazon.co.jp)
話題にはなっていたので、前から気になっていたのだが、なんとなく聴き逃していてしまって、ようやく日本盤発売の機会に聴くことができた。
前半はこのコラボのきっかけとなった、ジョニー・グリーンウッド (ex.レディオヘッド)による、ライヒの名曲「Electric Counterpoint」のギター演奏。小さな反復がもたらす不思議な高揚感と、どことなくロック的なアグレッシヴさを感じる、キラッキラ、かつ、バッキバキな名演奏。もともとは現代音楽であるため、こういう形態は芸術的要素を強調するような、例えばプログレ的な何かになると思いきや、その全く逆で、現代音楽といっても、そもそもミニマル・ミュージックであることがそうもたらすのか、どちらかというとポストロックないしはニューウェイヴ的な印象があり、非常に聴きやすいものとなっていると思う。
そして後半は本題、ライヒがレディオヘッドの「Everything In Its Right Place」(2000)と「Jigsaw Falling Into Place」(2007)の2曲を総力をあげてクラシック楽器編成で再構築した「Radio Rewrite」。もう、もはやロックらしさは微塵も感じることはないけれど、はやりレディオヘッドらしさは確かにあって、でも再解釈・再構築によって完全にライヒの楽曲だなと思わせる反復の美しさ、そして整然さがある。ライヒもそもそもクラシック音楽のシーンでは異彩を放ってきたし、レディオヘッドも先進的なロックバンドとしてひとつの時代を築いたバンドでもあるし、非常に相性のいい、いいコラボ作品になっていると思います。お見事。
余談。例えばもうパンク・バンドにパンクを感じることはないし、社会背景やら思想背景やら精神性やら、いろいろ変化してきてしまっているので、それはもうありえないと考えているのだが、精神性という意味においてならば、このアルバムは非常にそれを感じるものだったなと個人的には思いました。
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