今年は、殿下のニューアルバム無料配布とか、レディオヘッドとかの音楽配信系、または初音ミク問題とか、音楽にまつわるいろいろなことがあって、いろいろと思うことはあるのだけど、なかなか書き残せなくていて、でも本日で今年も最後ということで、今年、ある意味いちばん感慨深い出来事を書き残して今年を締めくくることにします。
ということで2007年最後は、去る8月10日に亡くなったトニー・ウィルソンを(今更ではあるけれど)あらためて追悼、彼の業績を振り返ってみたいと思います。
Anthony Howard Wilson
20th Feb 1950 - 10th Aug 2007
Rest In Peace.
トニー・ウィルソンは英国のマンチェスターの音楽シーンの中心人物のひとり。セックス・ピストルズが初めてテレビ出演した番組は彼が司会を務める番組だったとか、パンクとのかかわりもあるが、やっぱりなんといっても彼が創設したファクトリー・レコードか。彼の故郷・マンチェスターからアーティストを出したいとの思いで突っ走った結果、世に言うマッドチェスター・ムーヴメントなるものまで生み出し、果ては映画(「24 HOUR PARTY PEOPLE」)にまでなったんだから凄いんだけど、実はいい加減なド素人経営のレコードレーベル。でも「ファクトリーは何も所有せず、アーティストが全てを所有する。アーティストはクリエイティヴに自由で、やめるのも自由」という、いわゆる血の契約書、この天才的な(あるいは愚かな)閃きがなければ、例えばジョイ・ディヴィジョンから、コンピュータ、エレクトロが絡んだニュー・オーダーへの転換などあり得なかった。こういう自由な気質こそが、ファクトリーを特別なものにしているのだと思う。この閃きが後に仇となってあっさり倒産することになるのだけど。
このマンチェスターのインチキ業界人の、めちゃくちゃなレコードレーベルは何を生み出した? 世界の目をロンドンではなくマンチェスターに向かわせたこと、パンクでも商業主義でもない音楽、エレクトロとダンス・ミュージックの融合、レイヴ、ロックとダンス・ミュージックとアシッドの融合、自殺したボーカリストを持つヘタクソバンド、チンピラたちのダンス・ミュージック。。。それらは、こんな遠い国にもしっかり届いて、今も一部の人の中では生き続けている。あらためて彼の死を悼み、ご冥福をお祈りいたします。合掌。
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最後に。あんまり見ている人いないかもしれないですが、みなさま今年もありがとうございました。来年もよろしくお願いします。では、よいお年を。
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