bandcamp

アメリカ発の音楽配信、ストリーミングサイト「bandcamp」。言わずと知れた、ミュージシャン/アーティストがレーベルに頼らずに音楽を販売できるサービスであり、また、リスナー視点でも、さまざまな恩恵がある「bandcamp」。このbandcamp、リスナー視点からみれば、いま、(あさましい、卑しいのを承知で言うが)とてもオイシイことになっている。その理由について。

bandcampとは、約2年前くらいにスタートした、音源をアップロードし、世界中のリスナーにダウンロードしてもらえる無料のASPサービス。最近はパッケージにこだわったCDやレコード販売 (限定品ではあるが)も開始、話題になっているので、知っている人も多いのでは。

この音楽配信サイトの特長は、あらゆる面で柔軟性があること。配信する音源は無料から有料まで自由に、ミュージシャン側で設定でき、例えばRADIOHEADのような"Pay What You Want"、例えば小沢健二のような「投げ銭」方式リリースのように、リスナー側が価格を決めることができる。また、低音質を無料、高音質を有料にするなども可能、対応フォーマットもFLACなどの可逆圧縮形式までサポート。しかも非圧縮ファイルをアップロードさえすれば複数フォーマットに自動変換されるという簡単さ。しかも、売上は、現在のところは中間搾取なし、PayPal手数料のみのほぼ100%がミュージシャン達に還元される (この点については、いずれ取引手数料を徴収することになると名言しているが、このようなサービスはできるようでなかなかできない/他にもあるようでなかなかないサービスだと思うので、収益化して恒久的に続いて欲しいと思う)。

しかし、最大の特長は、やはりなんといってもライセンスの柔軟さか。All Rights Reservedでの配信はもちろん、クリエイティブ・コモンズ・ライセンスをつけることもできる。そもそも、「bandcamp」は一切権利を持たず、すべてはミュージシャン/アーティストのものであり、これは双方にとって理想的な契約関係といえるし、bandcampは従来の音楽業界やレコードレーベルの、権利関係や、いろいろなしがらみや利権を破壊する可能性があるものと思う。


さて、ここからは視点を少し変えて、リスナー視点から。

最近は円高がすすみ、円高不況の懸念がとなっている。でも、いいことがあるとすれば、海外サイトでのお買い物が安くなること。あさましい、卑しいのは承知のうえであえて言うがbandcampでの音源購入もいわずもがな、である。

bandcampの思想というものがあるとすれば、推測すると、その根底にあるものは、おそらく、iTunesStoreに代表されるような、「音源をダウンロードする為にお金を払う」ということではなく、「純粋に楽曲への対価を払う」ということをより意識させること、だと思う (だから試聴であってもフルコーラス聴けるようになっているのではないか?)。ちょっとしたニュアンスの違いなのだが、そこには、ミュージシャン/アーティストへの畏敬の念とかいろいろなもの、決定的な違い、差があるように思う。個人的な気分と言われればそれまでだが、iTunesStoreでの購入は、bandcampなどと違って楽曲に対する対価という感覚が希薄に感じられるのだ。

円高だからと、この時期に買い漁るという行為は、きっとbandcampの思想に反しているのはわかっているし、とても卑しい行為であることも勿論わかっている。それでもなお、この円高のこの時期だからこそと薦めるのは、おそらく知りつつも、意外と行動までに至らない人たちが、インターネット発の音楽を聴く/購入するキッカケとしては断然「アリ」だと思うからだ。

bandcampは、現在では結構な数のカタログを数えるようになった。これだけの数があれば、きっと自分に必要な音が必ず見つかる。これをキッカケにすればいい。まだの人は、ぜひ、試して頂きたい。しかもこういうご時世ですからね。

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このページは、kassyがSeptember 19, 2010 11:00 PMに書いたブログ記事です。

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